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循環器系の疾患/心筋疾患

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心筋疾患

拡張型心筋症

犬の心不全の原因になる疾患の一つです。心腔の拡張と心収縮力の低下が起こります。この疾患が起こる原因は、よくわかっていません。遺伝的な原因だろうと考えられています。猫では拡張型心筋症はまれで、猫の場合は、肥大型心筋症が重要です。大型犬で発生する疾患です。雌より雄のほうが罹りやすいようです。ボクサーやドーベルマン・ピンシャーでは、他の犬に比べて発生頻度が高く、性差も関係なく発症します。

猫の拡張型心筋症は、タウリンの不足が原因で起こることがわかっています。最近は、猫用フードにはタウリンが含まれているので一般的な疾患として重要ではなくなっています。但し、完全になくなった訳ではないので、タウリン以外に、遺伝的な要因、代謝異常、カリウムの低下、中毒、感染による末期症状によって引き起こされている可能性があります。タウリンが原因の場合は、一度発症しても、タウリンを補給すれば改善します。

その他の心疾患でもそうですが、結果として臨床的に診断される症状が『うっ血性心不全』となることがあります。拡張型心筋症の場合もそうです。拡張型心筋症では左心拡張が認められる訳ですが、そうなると僧帽弁の閉鎖不全を誘発することも往々にしてあり、その結果『うっ血性心不全』が生じることがあります。実際、拡張型心筋症の治療方針というのは、利尿剤・ACE阻害薬・陽性変力作用薬の投与、不整脈があれば抗不整脈薬を投与、運動制限、食事制限を行う、こととなります。これは、うっ血性心不全の治療と同じ処置です。果たして、あれこれ検査をして、拡張型心筋症という診断をもらう必要があるのか? 悩ましいところです。

拡張型心筋症の特徴としては、

  •  大型犬に多い
  •  うっ血性心不全の発症する年齢が4~10歳齢と少し若い
  •  初期症状がみつかりにくく無症状で過ごすことが多く、突然死することがよくある
  •  心房細動を起こすことが多い
  •  24時間ホルター心電図を記録すると、心室性期外収縮が頻発していることが多い
  •  ドーベルマン・ピンシャーによく見られる

この辺りが、拡張型心筋症と診断するに必要な情報ではないでしょうか?

その他、衰弱、元気消失、呼吸促迫・呼吸困難、運動不耐性、発咳、から吐き、食欲不振、腹部膨満(腹水貯留)、失神などが認められますが、一般的にうっ血性心不全によく見られる症状と変わりません。検査においては、聴診で心雑音、心電図で不整脈が、胸部X線検査・心エコー検査で左心拡張が認められます。

治療と予後

  • 不顕性の拡張型心筋症の場合
    •  臨床徴候を伴わない場合で、心室性期外収縮の発現から心室頻拍などを生じる場合、抗不整脈薬で様子をみるのが一般的です。
    •  投薬を開始するきっかけは、ドーベルマン・ピンシャーに代表される大型犬に衰弱や失神が見られたとき。24時間ホルター心電図を記録して、不整脈を確認したいところです。
    •  クラスⅢ群(ソタロール、アミオダロン)や、クラスⅠ群とⅡ群の併用投与が効果的なようです。まだ、効果的なプロトコールは定まっていません。
  •  臨床徴候(うっ血性心不全)を伴う拡張型心筋症の場合
    •  拡張型心筋症では、心収縮力の低下が顕著ですから、フロセミド、ACE阻害薬に追加して、ピモベンダン(陽性変力作用薬)の投与は必須でしょう。
    •  その他、頻繁に来院を促して、症状を観察しながら、胸水貯留が認められれば穿刺、不整脈があれば抗不整脈薬、運動制限、食事制限は必須です。

臨床状態が急激に悪化することがあるので、要注意です。早期診断と内科的な治療で、一般状態を平穏に保つことが可能ですが、飼い主に対する病気の説明と理解の促進、自宅での呼吸数・心拍数の管理は治療に役立つ情報になります。

  •  長期治療について
    •  心室の収縮力を強化することが必要ですので、ピモペンダンの投薬量はしっかり管理しておきたいところです。
    •  必要に応じて、ジゴキシンを追加投与することも必要でしょうか。
    •  ジゴキシンで心房細動、上室性頻拍を抑制できるので有効です。
    •  ジゴキシンの投与量は、0.25~0.375mg/日(ドーベルマン・ピンシャー)の経口投与が目安です。但し、心房細動が見られていたら、注意深く静脈内投与をしましょう。
    •  その他、長期療養の場合は、フロセミド(必要最低用量)とACE阻害薬は使用すべきですが、スピロノラクトンもアルドステロンの心血管繊維症防止するに効果的です。
    •  重篤な症状には、利尿剤と血管拡張薬の過度の使用が低血圧・ショックを引き起こす場合があり、注意が必要です。
  •  予後
    •  心不全徴候が見られると予後はよろしくない疾患です。
    •  内科的な治療の反応がよければ、半年以上の生存する症例もあります。
    •  突然死が起こりうるので注意です。特に、ドーベルマン・ピンシャーは注意です。

肥大型心筋症

猫では心筋の肥大を特徴とする心疾患が一般的です。犬ではあまり見られません。原因は明らかではなく、遺伝的なものと思われます。
肥大型心筋症は

  1.  左心室が異常に肥大(原因不明)
  2.  左心室が硬くなって動きが悪くなる
  3.  左心室の拡張不全
  4.  冠状動脈の血流が障害される
  5.  心筋虚血になる
    1.  不整脈が起こることがあり、突然死の原因となりうる
    2.  肥大・虚血のため、左心室の弛緩が不十分に
    3.  心室容量が減少して1回拍出量が低下
    4.  拡張期の血液充満時間の短縮で心拍数が増加
    5.  さらに左心室への血液充満・流入を阻害
    6.  虚血の悪化による悪循環と、左房の拡張・左心房圧の上昇が起こる
    7.  肺静脈のうっ血・肺水腫になる
  6.  左房の拡張・うっ血は、左心房内に血栓を形成しやすくなる

という経緯を辿ります。特に、重要なところは、心筋虚血が生じるということでしょう。それと、動脈の血栓塞栓症は肥大型心筋症の合併症にみられる病変です。

肥大型心筋症は、雄猫に多い疾患です。心臓疾患にありがちな無症状のままであることが多く、症状が認められると重度の呼吸器症状や急激な血栓塞栓症症状を呈します。心雑音・奔馬調律音(S4)を感知できることもありますが、心肥大が進行していても心雑音が聞き取れない猫も多いです。
呼吸器症状も急激に発現することが多くて、頻呼吸、運動不耐性、呼吸困難、から吐きのような発咳があります。失神や突然死が起こりますので要注意です。

肺水腫が胸部X線検査で確認されるような場合も、肥大型心筋症は進行している状態です。聴診でも肺音・捻髪音が聴取されることもあり、チアノーゼを呈していることもあります。
心電図上でも期外収縮や左脚ブロックなどがみられますが、猫の場合、動物病院の通常診察で心電図を測定するのは現実的ではありません。
肥大型心筋症の最も良い診断と鑑別は、心エコー検査を行うことです。メインクーンを飼っている飼い主さんは、定期的な心エコー検査をしておかれるのがいいと思います。
心筋肥大は他の疾患でも見られます。肥大型心筋症の特徴として、左心室壁、心室中隔とも対称性に肥大している様子が見られます。

治療と予後

  •  臨床症状が認められない猫に対する予防的な治療
    •  心エコー検査などの定期検診で猫の肥大型心筋症が見つかったとき、予防的に治療薬(カルシウムチャネル拮抗薬やβ遮断薬)を服用すると、活動性が上がったりする場合もあります。
    •  抗血栓薬も服用しておくべきだと思います。
    •  心臓に負荷を掛けないようにストレスを避けること、定期的な検診は必須です。
  •  臨床症状が明らかな猫に対する治療

    臨床症状が出ている場合は積極的な治療を行いましょう。心室充満の改善、うっ血の軽減、不整脈の制御、虚血を最小限に抑える、血栓塞栓症の予防、が治療目標です。
    他の心疾患と同様、うっ血性心不全の徴候を示します。重度のうっ血性心不全を呈している猫にはうっ血性心不全の治療方針でいいのですが、肥大型心筋症の場合は、心室充満時間の延長、心拍数を低下させることなどを目的に、β遮断薬とカルシウムチャネル拮抗薬を投与してやることがポイントでしょう。
    つまりは、この作用を擁しない陽性変力作用薬は禁忌です。心拍数を増加させるその他の薬剤も不可です。心拍数の増加は心室への血液充満時間が短縮し、心筋虚血を助長します。動脈拡張薬も不可です。反射性の頻脈が起こりますし、低血圧による心臓の前負荷が増します。肥大型心筋症では、心臓の前負荷の予備能力がないからです。
    猫に多い疾患ですが、犬の場合でも治療方針は同じです。

肥大型心筋症の治療概要
ストレスの緩和
ACE阻害薬
β遮断薬もしくはカルシウムチャネル拮抗薬
フロセミド(必要最低用量)と必要に応じて追加の利尿剤
予防的抗血栓薬(アスピリン、ワルファリン、ヘパリン、低分子ヘパリン
胸水貯留があれば胸腔穿刺
自宅での安静時呼吸数の管理
食事制限
腎機能、電解質のモニタリング
甲状腺機能亢進症や高血圧症との鑑別診断

×陽性変力作用薬
×心拍数を増加させる薬剤
×強い動脈拡張作用を持つ薬剤
  •  肥大型心筋症の猫の臨床症状が出ている状態と言うのは、重篤な状態であることが多いということです。余計なストレスは掛けないようにしましょう。
  •  肺水腫を呈していれば、フロセミドの投与ですが、ivがストレスになるようであれば、im(筋肉内投与、2mg/kg、TID~QID)でもよいので、呼吸数を見ながら改善するまで投与を行います。改善後は、用量を減量(1mg/kg以下、BID)し、経口投与でも構いません。投与回数は猫の状態を見ながら決めてください。
  •  猫はフロセミドに感受性が高いですから、気をつけましょう。高窒素血症、食欲不振、電解質異常、左心室充満不全などの副作用があります。
  •  食事制限(ナトリウムの制限)も必要ですが、食欲不振にならないことを優先しましょう。飲水も注意をしておくことが必要で、水分が不足しているようであれば点滴での補給も考慮します。
  •  難治性の心不全に陥っていれば、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が有効です。アンジオテンシンⅡによる心肥大が緩和する場合もあります。
  •  ACE阻害薬には動脈血管の拡張作用もありますが、軽度なので服用に問題はありません。
  •  カルシウムチャネル拮抗薬は、心拍数と心収縮力を適度に減少させます。心筋の酸素要求量が減少しますので、効果が期待できます。肥大型心筋症の猫で用いるカルシウムチャネル拮抗薬は、ジルチアゼムが冠動脈血管の拡張を促進し、心室の弛緩も亢進するのでよいでしょう。
  •  β遮断薬はカルシウムチャネル拮抗薬よりも強い心拍数減少作用があり、同時に抗不整脈薬としても用いられます。交感神経を遮断することで心筋の酸素消費量を減少させるので、心筋虚血や心筋梗塞の猫には有効です。
  •  β1選択的なアテノロールの投与が無難です。非選択的なβ遮断薬では気道のβ2受容体へ拮抗作用による気管支収縮が問題となります。
  •  病状が重い場合に、β遮断薬とカルシウムチャネル拮抗薬を併用することもありますが、低血圧、徐脈に対しては十分な注意が必要です。使い分け方は、一般的な対称性の左心室肥大ならジルチアゼム、大動脈狭窄、頻拍、失神発作がある、心筋梗塞の疑い、甲状腺機能亢進症の合併症などにはβ遮断薬が好まれます。
  •  うっ血性心不全にはACE阻害薬の方がより効果が大きいこともあります。
  •  予後
    •  難治性のうっ血性心不全や血栓塞栓症がみられる猫の予後はよくないです。
    •  生存率は、左心室肥大と左心房拡大の程度にも左右されるようです。

続発性肥大型心筋疾患

猫の肥大型心筋症は遺伝的な要因が大きい疾患ですが、それ以外にもストレスや心疾患以外の疾病で左心室の肥大、心室中隔の肥大、心不全が起こることが当然あるわけです。そのような二次性の心肥大疾患をまとめて、こんな呼び方で書いております。

  •  甲状腺機能亢進症
  •  高血圧症
  •  成長ホルモン過剰症(先端巨大症)

などがその原因となりうるので、特発性肥大型心筋症とは区別して診断できるようになりましょう。

  •  甲状腺機能亢進症
    •  心筋に対する直接作用、交感神経緊張、末梢血管への作用があります。
    •  交感神経緊張による作用は心拍数の増加、末梢血管は収縮させる作用になるので、心拍出量も心筋の酸素要求量も血液循環量も増加させるので、心筋の筋力過多の状態を引き起こします。
    •  高血圧は心筋の肥大を促進します。心臓の後負荷が増加するからです。
    •  症状としては、甲状腺機能亢進による症状として、多飲多尿、多食なのに体重減少、嘔吐・下痢などがあり、心疾患では心雑音(収縮期雑音)、頻脈、不整脈などが感知されます。
    •  結果としてうっ血性心不全になっている場合があるので、甲状腺機能亢進症に対する治療に加えて、心不全治療を行いましょう。特発性肥大型心筋症と同様の治療法です。
  •  成長ホルモン過剰症(先端巨大症)
    •  成長ホルモンの心臓に対する栄養的作用の結果、心肥大が起こります。
    •  二次的なうっ血性心不全に注意です。

拘束型心筋症

心室で、心内膜、心内膜下や心筋に繊維症(変性や壊死)が認められ、心室の拡張障害と拡張期容量の減少が見られる疾患です。心室壁の厚さと収縮能はほぼ正常です。発生頻度は多くありません。
心筋不全や心筋梗塞の末期症状にあるとも理解できる疾患で、予後はよくありません。血栓塞栓症や難治性の胸水貯留が通常発生します。胸腔穿刺を繰り返し行うことが必要です。
治療はうっ血性心不全や肥大型心筋症に準じた内科的治療が一般的です。最低用量のフロセミドと、ACE阻害薬の投与、不整脈や心筋梗塞が疑われたらβ遮断薬を用います。

高齢猫に多い疾患ですが、元気消失、食欲不振、嘔吐、体重減少がみられ、胸部X線検査では肺水腫や胸水貯留、その結果、呼吸器症状が認められ、最終的に心エコー検査で確定診断を下すなら、左心室壁の肥厚なし、心膜の肥厚なし、弁膜症なしで、顕著な心房の拡大を認めることが必要でしょう。

不整脈源性右室心筋症

ボクサーの心筋症として知られている病気です。ボクシングをする人ではないです・・・(失礼)。犬の犬種の一つであるボクサー犬です。犬ではボクサーに特異的な疾患ですが、猫でも認められます。死亡例の心臓病理所見では、心臓の広範囲にわたって萎縮・繊維化、脂肪組織の浸潤が認められます。
症状として見られるのは失神です。心室性の不整脈が起こっています。おそらく遺伝疾患でしょう。胸部X線検査では右心の拡張が見られます。
不整脈源性右室心筋症は以下の3タイプに分類されます。

  1.  心室頻拍があるが臨床徴候のない症例
  2.  心臓の大きさや左心室の機能は正常だが、心室頻拍による失神や虚脱症状がみられる症例
  3.  心室頻拍が見られ、心機能の著しい低下・うっ血性心不全を伴う症例

若年のボクサー犬でも認められます。心不全を伴うと左心の機能にも影響を及ぼし、半年程度の余命になることが多くなります。治療には、右室の異所性興奮による心室性期外収縮の頻発とそれ起因する心室細動の誘発を防ぐ必要があります。抗不整脈薬(Ⅰ~Ⅲ群)を組み合わせての処方が推奨されています。
でも、ボクサーは日本ではあまり飼われていない犬種なので、お目にかかることは少ない(はず)。

二次性心筋疾患

心筋の機能低下は、栄養欠乏、代謝異常、毒物、感染・炎症、外傷、虚血、腫瘍の浸潤によっても失われます。

  •  心筋毒
    •  一部の抗癌剤などでは心筋に毒性を持っています。私は抗癌剤の投与はしないので割愛です。
    •  エチレングリコール中毒の治療で用いるエタノールのiv、植物(イチイ、ジギタリス、スズランなど)にも注意。
    •  カテコールアミンや麻酔薬も頭に入れておきましょう。
  •  ボクサーやドーベルマン・ピンシャーの拡張型心筋症でL-カルニチンの欠乏していることがある。
  •  タウリンの不足が犬の拡張型心筋症でみられることもある。タウリンの欠乏は、猫の拡張型心筋症の明らかな原因です。
  •  虚血性心筋疾患
    •  冠状動脈の狭窄や梗塞による心筋の虚血が、心収縮機能を低下させる場合です。
    •  細菌性心内膜炎、腫瘍、重度の腎疾患、免疫介在性溶血性貧血、急性膵炎、播種性血管内凝固(DIC)、ステロイドの使用など、基礎疾患を持つ場合に起こることがほとんどです。
    •  不整脈、肺水腫、心電図上のST-segmentの変化が症状として見られます。

心筋炎

感染性微生物の浸潤や毒素、免疫反応、薬剤による刺激・過敏症によって、心筋に炎症反応がおこると、不整脈の原因になりますし、機能障害も起こります。

  •  感染性心筋炎
    •  ウイルス性心筋炎
      •  最も問題になるのはパルボウイルス感染症による心筋炎です。4~8週齢の元気な子犬が、急に下痢や嘔吐を繰り返し、急速な壊死性心筋炎による突然死を引き起こします。
      •  心筋に蒼白層を伴う心臓の拡張、肉眼所見でもわかるうっ血性心不全、大型の好塩基性無定型核内封入体、心筋の変性、局所的な単核球浸潤が死亡後の剖検所見でみられます。
      •  感染の予防にはワクチン接種が一番ですが、日本で飼われている犬のワクチン接種率の低さ(30%以下)が、未だにこのパルボウイルス感染症を蔓延させています。
      •  4~8週齢の子犬が対象なので、一般の飼い主には認識がありません。しかしながら、ペットショップやブリーダー犬舎で一度発生してしまうと次から次へと感染する可能性があるので特に注意しましょう。
      •  犬ジステンパーウイルスによる心筋炎が若齢子犬で見られますが、全身症状に比べると軽微です。
    •  細菌性心筋炎
      •  菌血症や細菌性心内膜炎、心膜炎が進行すると、心筋の局所、多巣性の化膿性心筋炎、膿瘍が形成されます。
      •  倦怠感、体重減少や発熱が症状です。心内膜症の項目をご参照下さい。
    •  ライム心臓炎
      •  スピロヘータというらせん状の形態をした細菌のグループに属するBorrelia burgdorferiという種の細菌がダニを介して感染する病気をライム病といいます。この細菌により心筋炎、心筋の壊死が起こります。
    •  原虫性心筋炎
      •  トリパノソーマ、トキソプラズマ、ネオスポーラ、バベシアなどの原虫によって心筋炎が引き起こされることがあります。
      •  トリパノソーマという原虫によって起こるシャーガス病ってのがありますが、アメリカで発生するものなんで、日本では見ないかな。
      •  トキソプラズマ症やネオスポーラ症は、免疫不全を呈している動物の心筋炎を引き起こすことがあります。これらの原虫は、心臓でもシストを形成します。シストが破れて放出されたブラディゾイトが心筋壊死を引き起こします。
      •  バベシアも時折心筋炎を引き起こします。それ以上にバベシア原虫の赤血球への寄生による貧血のほうが問題でしょうけど・・・

これらの感染性心筋炎が疑われた場合の治療は、支持療法が主体です。絶対安静、抗不整脈薬、心不全の管理を必要に応じて行いましょう。

  •  非感染性心筋炎
    •  心筋の炎症は、薬物・毒物・重金属や、免疫反応でも生じます。
      例えば・・・
      •  ヒ素、鉛、水銀
      •  抗癌剤、カテコールアミン、甲状腺ホルモン
      •  スズメバチの毒、サソリの針、ヘビ毒、毒蜘蛛による咬傷   など
  •  外傷性心筋炎
    •  胸壁に対する衝撃、圧迫などが原因で生じる鈍性の外傷があり得ます。ひどい場合には、心臓や心膜の破裂も起こりうることです。
    •  心臓外壁が損傷を受けると炎症が起こり、不整脈が生じたりしましょう。
    •  心臓内の乳頭筋の剥離が起こると急速なうっ血性心不全が起こりますので注意です。