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循環器系の疾患/心血管系の検査/動脈拍動

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動脈拍動

末梢の動脈拍動の強さ、規則性と脈拍数は、大腿動脈を触診して調べましょう。動物の鼠径部(後肢内側の付け根の奥)・股関節あたりに指を入れると、脈動が感知できます。

心臓の収縮期と拡張期の動脈圧の差を脈圧といいますが、この差の違いで脈の強弱が感じられます。動物の個体差と、触診で感知する獣医師の能力で評価が変わってきますが、獣医師は、常日頃から身体検査で数をこなして、感覚で身に付けるしかありません。

大腿動脈の触診は左右とも同時に行いましょう。片側の拍動が欠如したり、一方が微弱な拍動の場合は血栓塞栓症の可能性が高いです。

大腿動脈で脈拍数を数えるときには、聴診などで心拍数と同期しているか、を確認しておきます。大腿動脈の拍動数が少ない場合、脈欠損です。心臓は、ドクンと打っているものの、心臓から血液は駆出されていない状態です。心電図上、補充収縮や期外収縮などが起こっているかも知れません。

大腿動脈で強い脈と弱い脈が交互にみられる現象は、重度の心筋不全による交互脈・正常心拍に対して1つおきに期外収縮が起こる二段脈での、心室への血液の充満の減少・心拍出量の減少の結果起こります。
吸気時の顕著な収縮期血圧の低下は、心タンポナーデに関連します。

以下、動脈拍動の鑑別診断です。

  •  弱い拍動
    •  拡張型心筋症
    •  大動脈(弁下)狭窄
    •  肺動脈弁狭窄
    •  ショック
    •  脱水
  •  強い拍動
    •  興奮
    •  甲状腺機能亢進症
    •  発熱
    •  肥大型心筋症
  •  非常に強い拍動
    •  動脈管開存
    •  敗血症による発熱
    •  重度の大動脈弁逆流