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循環器系の疾患/心血管系の検査/頸静脈

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頸静脈

全身の静脈圧や右心の充満期圧は頸静脈圧に反映されます。

正常な動物では、頸静脈は怒張していません。
右心のうっ血性心不全、前大静脈の外部からの圧迫、頸静脈や前代静脈の血栓症により、頸静脈には持続性の怒張ががみられます。

正常な動物の頸静脈では拍動は感知されません。
頸静脈のそばを走行している頚動脈の拍動が感知されることもあるので、注意が必要です。拍動部位より近位を軽く圧迫して、拍動が無くなれば、それは頸静脈の拍動です。
異常な頸静脈波が感知される場合(目に見える場合)には、三尖弁閉鎖不全、硬化し肥大した右心室、房室弁閉鎖に逆らうような心房収縮を起こす不整脈が疑われます。

  •  頸静脈怒張/拍動の原因
    •  怒張のみの場合
      •  心嚢水貯留/心タンポナーデ
      •  右心房内腫瘤/流入障害
      •  拡張型心筋症
      •  前縦隔腫瘤
      •  頸静脈/上大静脈の血栓症
    •  拍動と怒張がみられる場合
      •  三尖弁閉鎖不全:変性、心筋症、先天性、右室圧過負荷に続発
      •  肺動脈弁狭窄
      •  肺高血圧症
      •  心室期外収縮
      •  完全(Ⅲ度)房室ブロック
      •  梗塞性心外膜炎
      •  循環血液量過多症
      •  フィラリア症

うっ血性の右心不全では、腹部の皮下などに惨出液・皮下浮腫が確認される。同時に、頸静脈の怒張や拍動を伴っているのが一般的である。