感染症/ウイルス感染症
ウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス
犬ジステンパーウイルスは、食肉目に感染する可能性があって、犬以外のペットで感染の危険性が考えられるのは、フェレットです。スカンクとかイルカにも感染します。人には感染しませんが、霊長類で感染する動物もいます。
ウイルスは、リンパ節、神経、上皮細胞で増殖した後、60~90日間、呼吸器の分泌液、排泄物、唾液、尿、網膜分泌物などに排泄されます。ウイルスは、マクロファージが貪食して、リンパ管内のウイルスを24時間以内に扁桃腺、咽頭、気管のリンパ節に運搬されて、その組織内でウイルスが増殖します。感染後、8~9日で中枢神経系と上皮細胞に感染します。
免疫力を欠く犬は、年齢に関係なく感染します。特に、3~6ヶ月齢の子犬で最も一般的に見られます。半分程度の犬に不顕性感染がみられますが、免疫応答が不十分だと、感染10日前後で呼吸器、消化器、泌尿器、生殖器などの上皮細胞でウイルスの著しい増殖が起こって、全身症状を呈して死亡します。感染後、14日までの良好な免疫細胞反応が起こって適切なウイルス中和抗体価の上昇を示すと、ほとんどの組織からウイルスが排除されて臨床症状を示しません。
疾患が発症する犬は、免疫応答がないか、弱い犬です。そのような犬は、中枢神経まで感染します。急性の脱髄は、稀突起性神経膠細胞に限局した感染と壊死の結果です。慢性の脱髄は、抗ミエリン抗体と犬ジステンパーウイルス免疫複合体の形成と除去を含めた免疫介在性機構に起因します。
症状
症状を示すのは、ワクチン未接種犬、母親からの初乳による移行抗体を摂取できなかった犬、ワクチン接種の失敗・投与ミス、免疫抑制などの状態の犬です。来院時は、抑うつ、倦怠、眼や鼻からの膿性分泌物、発咳、嘔吐、下痢、中枢神経症状を呈しています。身体検査所見では、扁桃腺の腫大、発熱、気管支肺炎を伴う犬では、気管支音の増強、捻髪音、喘鳴音が聴取されます。免疫応答の悪い犬は、より重篤な症状を示して、命に関わります。免疫力があれば、ケンネルコフと診断されるような、軽度の呼吸器症状を示すのみです。
感染部位 症状 子宮内感染 死産・流産
新生子期の衰弱症候群
子犬の中枢神経系症状消化器症状 嘔吐・小腸性下痢 呼吸器症状 粘液性、粘液膿性鼻汁・くしゃみ・呼吸困難
気管支音、捻髪音の増加を伴う発咳眼疾患 脈絡網膜炎
メダリオン病変・眼神経炎
乾性角結膜炎・粘液膿性滲出物神経症状
脊髄索疾患
中枢性前庭疾患
小脳異常
大脳異常
舞踏病性
間代性筋痙攣
不全麻痺・運動失調
斜頸・眼振・頭蓋神経および意識的固有受容感覚欠損
運動失調・頭部の上下運動
痙攣・抑うつ・失明
筋肉のリズミカルな運動その他 発熱・食欲不振
扁桃腺腫大・脱水
化膿性皮膚炎
鼻部および肉球の角質増殖
エナメル質の低形成
知覚過敏、発作、小脳または前庭疾患、不全麻痺および舞踏病性間代性筋痙攣が、全身性疾患から回復して21日以内に認められるのが、神経症状の特徴です。神経症状が出ると、進行性であり、予後不良です。全身性症状を示さず神経症状が出る場合もあります。老齢犬の脳炎は、ジステンパーの感染と考えられ、進行性汎発性脳炎です。ミクログリアが増殖して、神経細胞が変性して、抑うつ、回転運動、頭部の圧迫、視覚障害が認められます。
眼の異常には、ブドウ膜炎、眼神経炎、脈絡膜網膜炎によって、失明、瞳孔散大がみられます。脈絡網膜炎と脳炎の合併症は、感染犬の多くにみられる症状です。慢性感染になると、乾性角結膜炎、メダリオン病変と呼ばれる網膜の反射亢進性の瘢痕がみられます。
一般的ではない症状には、永久歯が生えそろう前に感染した犬でのエナメル質の低形成があります。鼻とパットの角化亢進(フェレットは特徴的です)や化膿性皮膚炎がみられることもあります。胎盤感染では、死産、流産、助かっても中枢神経障害を持って生まれてしまうことがあります。
症状と検査によるリンパ球減少と血小板減少所見から、犬ジステンパーウイルス感染を疑います。疑ったら、検査機関に依頼して、抗体検査をしてもらうといいでしょう。
治療
支持療法しかありません。消化管や呼吸器系の細菌性二次感染は一般的ですので、抗生剤で治療します。発作があれば、抗痙攣剤を投与するのですが、舞踏病性間代性筋痙攣に対する効果的な治療薬はありません。
慢性ジステンパーウイルス感染による中枢神経症状には、ステロイドが有効なことがありますが、急性感染時には禁忌です。神経症状を伴う犬ジステンパーウイルス感染は、予後不良です。
予防
すべての子犬に対して、ワクチンを6~16週齢の間に、3回、接種します。母親からの移行抗体を受け取っている子犬は、犬ジステンパーウイルスワクチンを阻害してしまいます。なので、6週齢前後の接種時には、効果が得られない場合があります。ここで接種する理由は、母親からの移行抗体の効力が切れているかも知れないので、ワクチンで補っておくためです。実際のところ、移行抗体に阻害されることが多いので、その後、2回、合計3回のワクチン接種を行います。その後は、年に1回、追加接種しましょう。
犬が免疫不全であったり、ワクチン接種前に既にウイルス感染していたり、ワクチン接種が正常に行われていなかったりすると、ワクチンを接種した犬でも、症状を呈することがあります。すべての野外株を防御しないこともあるでしょう。
犬パルボウイルスに感染している犬では、ジステンパーウイルスのワクチンを接種すると、脳炎を発症します。そもそも、パルボウイルスを疑う程の状態では、ワクチン接種は行わないと思いますが、止めておきましょう。ジステンパーウイルスは、一時的に血小板の減少を引き起こすことがありますが、出血を引き起こすことはありません。
ちなみに、人には感染しません。
猫コロナウイルス
猫に疾患を起こすウイルスは、猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスと猫腸管ウイルスがあります。FIPウイルスは、自然界には存在せず、猫腸管ウイルスが猫の体内で突然変異したものです。
猫の腸内のコロナウイルスは、糞便中や唾液中に排泄されて、強い伝染性を示します。猫の多頭飼いでは、ほぼ全頭が感染すると考えていいと思います。胎盤感染の有無は不明です。
単球に感染したコロナウイルスは、ウイルス血症を起こして全身に拡散して、FIPウイルスとなる可能性があります。細胞性免疫反応が悪い猫は、滲出型となって、ある程度の細胞性免疫を示す猫は、非滲出型になります。滲出型は、免疫複合体型の血管炎で、蛋白含有量の多い漏出液が、胸腔、腹腔、心膜腔、腎周包膜下の間隙に貯留します(ウェット型)。非滲出型は、化膿性肉芽腫性または肉芽腫性の病変が、眼、脳、腎臓、大網、肝臓に発現します(ドライ型)。
猫白血病ウイルス感染、猫免疫不全(エイズ)ウイルス感染、呼吸器感染している猫では、FIPの発生リスクが高いようで、猫の免疫状態はFIP発症への進行、遺伝子変異に関わっていることを示唆しています。
- 症状
- 腸管コロナウイルスが増殖すると、発熱、嘔吐、粘液性の下痢となりますが、軽度で、他の猫に感染することもなく、数日で支持療法に反応します。
- FIPは、生後6ヶ月程度~5歳齢、もしくは10歳齢以上で多く、特に、1歳以下の猫に多いです。主訴は、食欲不振と体重減少、倦怠です。黄疸、眼炎、腹部膨満、呼吸困難や中枢神経系の異常に気付くこともあります。
- 発熱、体重減少は、滲出型でも非滲出型でもみられる所見です。
若い猫(2歳以下)で黄疸がみられたら、FIPを疑いましょう。FIPなら、腹部が腫大して、波動があって、大網、腸間膜、消化管に腫瘤が触知されることがあります。胸水で、呼吸困難と浅速呼吸がみられ、心音や肺音は、遮られます。雄猫では、貯留液で陰嚢が腫大することもあります。
非滲出型のFIPでは、ブドウ膜炎、脈絡網膜炎が多く認められます。この症状しか認められないこともあります。化膿性肉芽腫性病変がみられる症例では、発作、後駆の不全麻痺、眼振などの神経症状が惹起されます。
診断を確定させるには、病理検査やウイルスを分離することが必要になりますが、現実的ではありません。生前診断は困難ですが、血液検査で、原因がわからない貧血と、総蛋白の高値があって、発熱がみられて元気がない、という時には疑ってみましょう。検査機関に血清を送れば、抗体価とアルブミン/グロブリン比、蛋白分画を測定してくれます。
- 治療
- 自然寛解する猫もいなくはないのですが、これといった治療法はありません。支持療法を行って、電解質、体液平衡の異常を補正することです。
- 炎症反応を調整することが治療として望ましいので、プレドニゾロン(1~2mg/kg、経口、SID)を投与します。非滲出型では症状を軽減することがあります。
- 抗菌薬は、細菌の二次感染に対して投与することがあります。
- 他では、アスピリン(10mg/kg、経口、2~3日毎に投与)やアスコルビン酸(125mg、経口、BID)の投与が推奨されています。
FIPでは免疫反応が低下しているので、ステロイドの投与は意見がわかれるところです。インターフェロンが効果がある、という報告もあります。FIPで、全身症状を呈していると、数日~数ヶ月で、ほぼ死亡します。安楽死を選択するのも一つです。滲出型は、予後不良です。
非滲出型の猫の生存期間は、さまざまです。眼型の症状のみのFIP感染猫は、抗炎症薬での治療や障害を受けた眼球の摘出に反応して、全身性のFIPと比較すると、予後は悪くありません。
FIPでは、Bリンパ球機能を抑制して、Tリンパ球機能の活性化を行うと、ウイルス除去が誘導されますが、そのような治療を行うことは現時点では出来ません。もしかしたら、冬虫夏草など漢方治療がよいかも知れません。
予防
コロナウイルスの感染を予防する最善の方法は、ウイルスへの暴露を回避することです。ウイルスは、乾燥した分泌物中で、7週間以上、生存します。ウイルスは、一般の消毒薬で不活化します。なので、消毒をしっかりして清潔にしましょう。
コロナウイルスの特徴として
- コロナウイルス抗体陽性の健常猫は、ウイルスを常に排出
- コロナウイルスは胎盤を通して子猫へ感染しない
- 母親由来のコロナウイルス抗体は、4~6週齢で減少
- 移行抗体減少後、母親以外の猫との接触で感染
- 自然感染したコロナウイルスへの抗体は、生後14週齢までに産生される
ということがわかってて、猫は感染したコロナウイルスを排除することができます。陰性猫を飼育して、他の猫と接触しないようにして、14週齢以降にコロナウイルス抗体を調べて陰性なら、まず大丈夫、ということになります。
猫白血病ウイルス
猫白血病ウイルス(FeLV)は、レトロウイルスの仲間で、逆転写酵素を産生して、細胞質内でFeLVのウイルスRNAのDNA転写物(プロウイルス)形成反応を触媒し、プロウイルスがゲノム内に組み込まれます。細胞分裂において、プロウイルスが、FeLVの鋳型になって細胞質内で合成され、出芽によって細胞膜から放出されます。FeLVはコア蛋白とエンベロープ蛋白から構成されていて、エンペロープ蛋白が免疫抑制を誘導します。コア蛋白は、感染猫の細胞質、末梢血、唾液、涙液中に存在して、コア蛋白を検出することでFeLVの感染有無を判断します。
FeLVの感染経路は、感染猫の唾液、鼻汁との長期の接触です。毛づくろいや共同で飲食することで感染します。ウイルスは、糞便や尿中には生存しません。媒介物による感染や飛沫感染もないでしょう。胎盤感染、経乳汁、性交感染はあまりないようです。FeLV感染ノミの糞便中から2週間、検出されますが、ノミが感染経路になることはありません。
ウイルスは、口腔・咽頭で複製されて、全身や骨髄に播種します。骨髄で持続感染が起こると、感染した白血球、血小板が骨盤から流出します。最終的に、唾液腺、涙腺を含めて上皮器官に感染します。ウイルスと接触した際に、猫が感染するか、しないか、は、ウイルスの亜型、株、量、猫の年齢や免疫状態に左右されます。症状が出たり、持続性ウイルス血症に進行する猫もいれば、排除できる猫もいます。潜伏感染している猫は、抗体陽性を示します。潜伏感染は、ステイロイドや他の免疫抑制剤の投与を活性化されてしまうことがあります。
- 症状
- 食欲不振、体重減少、抑うつなどを訴えて来院されます。ウイルスによる影響と、免疫抑制に続発する日和見感染の結果です。汎白血球減少症に類似した腸炎、消化器型リンパ腫、二次感染による嘔吐や下痢もみられるようになります。
- FeLVによる黄疸は、肝前性で、免疫介在性の赤血球破壊で起こります。肝臓のリンパ腫、肝リピドーシス、巣状性の肝臓壊死、消化器型リンパ腫による肝性もしくは肝後性の黄疸が認められます。
- 免疫抑制のために、細菌感染やカリシウイルスによる口内炎も起こります。二次感染で、鼻炎、肺炎を呈することもあります。
- 縦隔型、多中心型、消化器型リンパ腫が、FeLVで多い腫瘍です。縦隔型リンパ腫では、呼吸困難や胸水の貯留が起こる場合もあり、3歳齢未満で発症するのが特徴です。消化器型リンパ腫では、FeLV陰性であることが多く、老齢猫の象徴、腸間膜リンパ節、腎臓、肝臓が影響を受けます。その他、線維肉腫やリンパ過形成、末期には白血病がみられます。
- 腎臓には、リンパ腫や糸球体腎炎による腎不全が発現する場合もあります。末期には、多飲・多尿、体重減少、食欲不振が顕著になって、括約筋の麻痺や排尿筋の過剰作用で、尿失禁のみられることもあります。
- 眼のリンパ腫で、縮瞳、眼瞼痙攣、眼球混濁が起こります。神経学的な異常では、瞳孔不同、運動失調、虚脱、四肢不全麻痺、行動変化、失禁がみられます。これらの変化は、FIPやクリプトコッカス、トキソプラズマの感染が原因です。
- 流産、死産、不妊もあります。
症状から疑わしい症例があれば、FIVとともに、まずは検査キットを用いて抗体検査を行いましょう。比較的信頼度が高い検査です。
- 治療と予後
- 基本的には、治療法はありません。いずれ逆転写酵素阻害薬が使えるようになると思いますが、効果の程はわかりません。現時点では、インターフェロンに反応する猫もいます。
- 腫瘍には化学療法を行いますが、QOLの改善と予後を考えての投与をしましょう。日和見感染菌には、抗生剤を上限量、最も長い投与期間、服用させることが望まれます。
- ビタミンB12、葉酸、エリスロポエチンは、非再生性貧血の治療に、無効です。輸血が必要になります。自己凝集性溶血性貧血には、免疫抑制療法を行うのですが、ウイルスを増幅させる可能性があります。
- ウイルス血症猫の予後は不良で、2~3年以内に死亡します。
予防と人への感染
猫を室内飼育すること、が最もよい予防法です。FeLV感染猫との接触を避けること、です。多頭飼育で、FeLV抗体陽性猫がいる場合、食器などの共用を避けましょう。
ワクチンも予防手段として有効ですが、100%の有効率にはなりません。しかしながら、FeLV抗体陰性で、他の猫との接触がある、もしくは外出する機会がある猫は、ワクチンを接種しておいた方がいいと思います。
FeLV感染猫は、他の猫との接触と日和見感染をさけるために、室内飼育にしましょう。ヘモプラズマ、バルトネラの感染を防ぐために、ノミの予防も徹底してください。トキソプラズマ、クリプトスポリジウム、ジアルジアなどの感染を避けるため、生肉の摂取は止めましょう。
FeLVそのものは、人には感染しませんが、日和見感染による人畜共通伝染病の発症があるので、他の病原体に十分注意してください。
猫免疫不全(エイズ)ウイルス
猫エイズウイルス(FIV)は、レトロウイルスの仲間で、逆転写酵素を産生します。逆転写酵素は、ウイルスRNAを、猫のゲノムに組み込むときの触媒として使われます。多くの亜型があって、急速に免疫不全を引き起こす株や、ブドウ膜炎程度の症状で済む株、無症状のものもあります。
攻撃的な咬みつき行動が、FIVの感染経路です。胎盤感染も起こりますし、周産期感染もあって、母猫から子猫へ感染します。FIVは、Tリンパ球(CD4+、CD8+)、Bリンパ球、マクロファージ、星状細胞内などで増幅します。
初期感染では、ウイルスが体内に播種するので、微熱、好中球減少、全身のリンパ節腫大が認められます。FIVは不顕性感染で、発症するまでの不顕性期は、3~10年と幅があります。発症すると、数ヶ月から数年以内に、免疫不全状態に進行します。特に、ヘモバルトネラ、トキソプラズマ、猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルスに感染していると、FIV介在性の免疫不全によって重症になる可能性があります。
- 症状
- ウイルスの直接的な影響と、免疫不全の発現に続発する二次感染(日和見感染)による症状がみられます。
- 初期・急性期の症状は、発熱とリンパ節腫大です。主訴は、食欲不振、体重減少、抑うつで、FIV抗体陽性反応があれば、疑いが強くなります。
- ウイルスの作用に直接起因する症状は、慢性小腸性下痢、非再生性貧血、血小板減少、好中球減少、リンパ節腫大、辺縁性網膜炎(前眼房炎症)ブドウ膜炎、糸球体腎炎、腎不全、高グロブリン血症、です。
- 神経学的な症状では、痴呆、逃げ隠れ、狂暴化、排泄の失敗、徘徊などの行動異常です。痙攣、眼振、運動失調、末梢神経異常もみられることがあります。
- 免疫不全が引き起こすと考えられるリンパ系の悪性腫瘍、骨髄増殖性疾患、癌・肉腫がよくみられます。リンパ腫の発生率は明らかに高くなります。
診断には、検査キットがあって、比較的信頼性の高い検査ですから、特に保護した野良猫なら、6ヶ月齢を超えたら検査しておきましょう。
FIV抗体陽性猫の予後を判定するには、併発している感染症が治療可能かどうか、ということだけしかありません。
予防と人への感染
猫同士の喧嘩を避けて、室内飼育を行うこと、FIV陰性猫を別の猫に接触させる際には、検査を行ってFIV陰性であること確認してから同居させること、を徹底しましょう。感染がわかっている猫なら、母乳を与えないなど、感染の機会を増やさないことが重要です。
ちょっとした接触では感染しません。体外に排出されると、数分~数時間で不活化しますし、一般の消毒薬で死滅できます。感染力は、それほど強くない、ということです。
今は、ワクチンが開発されていますが、単味ワクチンです。陰性猫であれば、予防のため、ワクチンを接種しておくのも、感染を防ぐいい手段です。初年度は3回の接種を行い、翌年以降、1年に1回のワクチン接種を行います。
FIVとHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、形態学的に似ていますが、抗原的には異なってて、人に感染することはありません。FIV自体は感染しませんが、免疫不全を起こすために、他の人畜共通伝染病の病原体が拡散される可能性があるので、十分に注意してください。