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感染症/検査と診断

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検査と診断

微生物の検出

 糞便検査

消化器系の疾患では、寄生虫の有無を診断するために、糞便検査を行います。呼吸器系の疾患でも、寄生虫の感染により、糞便中に虫卵がみられることがあります。手技には、直接法、染色塗抹、糞便浮遊法、ベールマン法などがあって、汎用的に使われています。

  •  直接法
    新鮮な便を、直ちに鏡検します。糞便に生理食塩水を滴下して、カバーグラスを被せて、顕微鏡で覗けば、虫卵や運動性の原虫が観察できます。ジアルジア、カンピロバクターなどの観察が容易です。
  •  塗抹染色
    スワブを使うなどして糞便を採取して、スライドグラスに塗布します。乾かして、Diff-Quick染色などで染色すると、白血球やカンピロバクター、クロストリジウム(芽胞形成菌)などが観察できます。
    染色法を工夫すれば、クリプトスポリジウムの診断も可能です。好中球が観察できれば、サルモネラ属、カンピロバクター、クロストリジウムに起因した炎症が起こっている可能性が示唆されます。
  •  浮遊法
    糞便中のシスト、オーシスト、虫卵の検出感度が上がります。
  •  ベールマン法
    糞便中の運動性子虫を集めるのに使われる方法です。呼吸器系の疾患の寄生虫には、子虫内包卵が腸管を通過して排泄直後に子虫を放出するものもあります。

 細胞診

滲出液、骨髄吸引、血液塗抹、滑液、胃壁擦過標本、十二指腸液、尿、前立腺洗浄液、気道洗浄液、糞便塗抹標本、組織押捺標本、吸引生検標本などを細胞学的に評価するものです。感染因子の検査に、比較的安価で可能な上に、極めて有効な手段でもあり、費用対効果は大きい検査です。確定診断に直結します。細菌の形態、グラム染色所見は、細菌培養や感受性試験の結果を待つまでの間、抗生物質の経験的な選別に役立ちます。塗抹標本の作り方は、しっかりと練習しましょう。
細胞学的な検査材料は、一般的な染色液で染色すれば大丈夫です。ライト-ギムザ染色、Diff-Quick染色、グラム染色、抗酸性染色などです。必要に応じて免疫蛍光染色なども行うと、より診断の手助けとなります。検査機関で行っているところに外注してみましょう。

  •  細菌性疾患
    無菌的に材料を採取して、ライトギムザ染色かDiff-Quick染色と、グラム染色を行います。好中球やマクロファージが増えていたら、細菌培養を行いましょう。
  •  リケッチア性疾患
    エールリヒア、アナプラズマ、リケッチア類は、抹消血液、リンパ節吸引材料、骨盤吸引材料、関節液中の細胞の細胞質内に認められます。
  •  真菌性疾患
    皮膚糸状菌の分節分生子や粉状型分生子は、病巣周辺から抜いた被毛を、スライドグラス上で水酸化カリウム液で滴下して観察すると、鏡検可能です。慢性病変、滲出性皮膚病変の猫では、病変部の押捺(スタンプ)標本を作製して、単核球細胞質内の酵母様菌を確認しましょう。真菌の検出には、PAS染色が適してます。
  •  寄生虫
    ツメダニ、ニキビダニ、ヒゼンダニなどが一般的な皮膚寄生虫です。ツメダニは、セロハンテープを痂皮部分に押し当てて、それをスライドグラス上で鏡検すればみれます。ニキビダニは、皮膚の深層に寄生するので、掻爬して、多少、出血する程度にサンプリングをした方がいいです。ミミヒゼンダニは、虫卵が外耳道の耳道腺分泌中で検出できます。
  •  原虫性疾患
    血液塗抹標本で、リーシュマニア、トリパノソーマ、バベシアなどが検出できます。耳介血管から採血すると、検出率が上がるそうです。
  •  ウイルス性疾患
    ウイルス封入体が検出されることは、ほとんどありません。

 組織学的検査

組織が採取できれば、10%緩衝ホルマリン液に浸漬して、病理組織学的検査を実施します。免疫染色やPCRを行うなら、組織は凍結保存しましょう。ウイルス封入体を検出したいなら、電子顕微鏡検査ですが、さて、そこまでする必要があるのか・・・

 培養検査

細菌、真菌、ウイルス、原虫の一部は培養可能です。培養した結果をみて、何が感染していたか、を調べます。
細菌培養は、感受性試験も行えば、最適な抗菌薬を決定するための情報を得られます。汚染の少ない採材をすることが必要です。正常細菌叢がみられる器官からの採材試料は、評価が難しくなります。培養陽性と炎症細胞が確認されたら、細菌感染です。

糞便中の細菌類の培養が必要なこともありますし、マイコプラズマや尿の培養も行うことがあります。真菌は、市販の培地を使用しても行えます。培地中で生育して人に感染することがありますので、取り扱いには注意が必要です。

 免疫学的検査

蛍光抗体法、凝集法、ELISA(酵素標識免疫吸着法)などを行うと、組織や細胞中の病原体が検出できます。

簡単な検査ですと、フィラリア抗原検査、FIV・FeLVの検査キットなどは、免疫反応を利用して行います。パルボウイルスの抗原検出検査も同様です。感度と特異性が高いので、ウイルス性疾患の確認や、微量抗原の検出、類似病原体の鑑別に有用です。

 その他

最近は、PCRを用いて検査することも可能です。培養困難な病原体や、培養されない病原体を特定するには、有効ですが、そこまでするのか・・・ FIVの確定診断に、行うことがありますけど・・・
他では、電子顕微鏡検査があります。

抗体検出

感染症の補助診断に用いられることがあります。注意する点は、抗体は感染症が回復した後でも長期間持続していること抗体検査陽性がそのまま感染症の確定診断にならないこと感染が急性の場合は液性免疫応答が発現しておらず、結果が陰性になることがあること、です。

蛍光抗体法、ELISA、ウエスタンブロット法が、IgM、IgG、IgAの検出をするように設定されていて、一部の感染因子の検出用いられています。トキソプラズマ、猫コロナウイルス感染などには、実施しておく方がいいと思います。