役に立つ動物の病気の情報 | 獣医・獣医学・獣医内科学など

感覚器系の疾患/緑内障

Top / 感覚器系の疾患 / 緑内障

緑内障

緑内障は、原発性と続発性がありますが、隅角の状態によって開放隅角と閉塞隅角にも分けられますし、急性と慢性の分類がされることもあります。

原発性緑内障は、緑内障以外の眼疾患を伴わない緑内障のことで、遺伝的な隅角の異常で起こります。続発性緑内障は、他の眼疾患に伴って二次的に眼圧が上昇するもので、猫の場合はほとんどこのタイプです。原因は、ぶどう膜炎、腫瘍、水晶体の変位、眼内出血、硝子体脱出などが挙げられます。

急性緑内障では、突然の視覚障害、角膜の白濁、上強膜の顕著な充血、瞳孔の散大、羞明などが認められます。眼を痛がって、頭を触られるのを嫌がったり、元気消失や食欲低下もあります。眼圧が上昇したまま経過すると、慢性緑内障となって、眼球が腫大して、角膜の混濁は軽くなりますが、デスメ膜の条痕線が角膜にみられるようになります。さらに症状が進むと、水晶体の脱臼、眼内出血、角膜障害などを起こして、最終的には、眼球は萎縮してしまい、眼球癆という状態になります。

猫の緑内障は、痛みを示すことはありません。結膜の浮腫はみられますが、上強膜の充血も軽度です。早期に現れる症状は、左右の瞳孔の大きさや形が違ってくることです。猫の眼球は拡張しやすいので、緑内障の猫では眼球腫大が顕著です。

診断
疑いがあれば、眼圧を測定しましょう。点眼麻酔を行った後、眼圧計を用いて測定します。犬で30mmHg以上、猫で40mmHg以上の眼圧は、緑内障と診断します。犬の眼底検査では、急性期は網膜血管が細くなったり、視神経乳頭が若干小さくなったりします。慢性期は、視神経乳頭が萎縮して陥没して、網膜の血管はほとんどみえなくなります。猫はほとんど変化ありません。

治療
治療は非常に難しいのですが、内科的には、点眼薬を滴下します。トルソプトやキサラタン(ラタノプロスト)などがあります。房水の産生を減らしたり、房水の流出を増やしたりさせます。ステロイド点眼やアトロピン点眼は、禁忌です。

視力回復の可能性がない場合は、外科的に、レーザーを用いて眼房水が抜けるように穴を開ける手術や、眼球を摘出して義眼を入れる手術、ゲンタマイシンを硝子体内に注入する処置があります。予後がいいのは、摘出・義眼挿入手術のようです。ゲンタマイシンの注入は、ゲンタマイシンの細胞毒性を利用した毛様体破壊によって、眼房水の産生を低下させて、眼圧が下がることを期待しての処置になります。安価で、比較的予後も悪くありません。翼状針を用いて硝子体を1mL吸引して、ゲンタマイシン0.5mL(50mg/mL)とデキサメタゾン0.5mL(2mg/mL)を注入します。術後は、非ステロイド性抗炎症薬の2週間の服用と、抗生剤とステロイド目薬を、2~3週間点眼します。