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繁殖障害と生殖器系の疾患

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繁殖障害と生殖器系の疾患

発情の異常

雌犬の性成熟は、平均的には9~10ヶ月齢です。同じ犬種でも幅があります。発情周期は、平均では6ヶ月に1回程度、これにも犬によって幅があります。同一個体でも、発情周期に変動はあります。

雌犬の発情周期は、発情前期、発情期、発情休止期、無発情期に分けられます。発情前期と発情期が、発情している、という状態です。犬の発情周期の特徴は、長い無発情期があること、長い発情前期と発情期があること、黄体の寿命が妊娠に影響しないこと、未熟な卵子を排卵すること、雌生殖器内での卵子と精子が長期間生存すること、です。

無発情期は、多くの家畜が数日~数週間であるのに対して、犬は数ヶ月ですし、発情前期と発情期は、他の家畜が数時間~数日であるのに対して、犬では数日~数週間です。雌生殖器内での精子と卵子は、他の家畜は数時間しか生存しませんが、犬は数日間生存します。
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膣と子宮の疾患

陰門からの排出物が、犬の生殖器疾患に伴ってみられることが多く、尿路疾患に伴うことはあまりありません。猫では、陰門排出物はほとんどありません。

排出物の意味は、発情周期の段階、排出物の細胞構成、排出物の起源から判断します。陰門、膣前庭、膣の疾患では、陰門排出物や陰門を舐める行動、もしくは頻尿以外の症状を示すことはまれです。子宮疾患では、陰門排出物に加えて全身症状を示すことが多いのが一般的です。元気消失、体重減少、嘔吐、多飲・多尿などの所見を認めるなら、早急な対応が必要になります。
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妊娠と分娩の異常

受精は卵管内で起こって、そこで受精卵は桑実胚まで発育します。犬の初期胚盤胞は、排卵後8~10日(猫は5~6日)で、子宮に移動します。排卵後12~17日(猫は6~8日)に胚は子宮内を移動して、両側の子宮角に均等に配置されます。着床が完了するのは、排卵後18~21日(猫は12~14日)です。

妊娠期間中、機能的な黄体を必要とします。黄体機能の評価は、血清プロジェステロン濃度で可能です。排卵後のプロジェステロン濃度は低いですが、その後、15~20日間は増加します。7~14日間程度、ピーク値を保った後、妊娠後期は徐々に低下します。分娩前には急速な下降が生じて、48時間以内に分娩が起こります。

プロジェステロンの急な低下はプロスタグランジンF2αの急な上昇によるものです。黄体からのプロジェステロン分泌は、下垂体の黄体形成ホルモンとプロラクチンの分泌に依存します。妊娠後半は、プロラクチンが主な黄体刺激因子になります。
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乳房・乳腺の疾患

産後に起こる子宮炎と乳房炎は、母犬の発熱と育児放棄の大きな原因となります。乳房の異常は、比較的目に付き易いのですが、子宮炎の場合、おかしいと判断するのは、新生子が母親に無視されて、泣き叫んで、落ち着きがなくなる症状からです。これらの症状に対しては、新生子を生存させるために、迅速に積極的な治療を行いましょう。
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雄の繁殖障害

雄としての性の発達を誘導する主な遺伝的要素は、Y染色体の短腕部上の性決定領域(Sry遺伝子)です。Sry遺伝子は、性染色体と常染色体上にある別の要因とともに、性的に未分化な胎子の生殖腺を精巣へと分化・発達させます。生殖腺の精巣への分化は、妊娠36日齢の胎子で観察されます。胎子の精巣で産生されるホルモンが、雄性化を促進します。胎子の精巣のセルトリ細胞は、ミューラー管抑制物質を産生します。ミューラー管抑制物質は、卵管、子宮、膣深部に発達するミューラー管を退行させる作用があって、犬では妊娠46日齢までにミューラー管は退行します。

胎子精巣のライディッヒ細胞は、ウォルフ管を精巣上体や精管に分化・発達させるテストステロンを産生します。テストステロンの代謝産物であるジヒドロテストステロンの作用によって、尿生殖洞が尿道や前立腺に、生殖結節が陰茎に、生殖隆起が陰嚢に分化・発達します。猫の胎子の場合、雄の外部生殖器は、妊娠38~43日齢で観察されます。
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陰茎・包皮・精巣の疾患

包皮の疾患で多いのは包皮炎、精巣の疾患でよくみられるのは、潜在精巣、腫瘍、精巣炎や精巣上体炎、陰茎は外傷が最もよくみられる疾患です。
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前立腺の疾患

前立腺の疾患は、犬ではよく認められます。猫ではまれです。犬の前立腺疾患には、良性の前立腺肥大症、鱗状化生(扁平上皮化生)、細菌性前立腺炎、前立腺膿瘍、前立腺嚢胞、前立腺周囲嚢胞、前立腺腫瘍があります。

前立腺疾患に伴う症状は、腫大の程度、炎症の程度によって様々です。最もよく認められるのは、しぶり(排尿困難・排便困難)です。排尿とは無関係の、陰茎からの血様液や再発性尿路感染もよくある症状です。精液中に、血液の混入もときおり認められます。細菌感染や腫瘍の発生があると、発熱、倦怠感、下腹部に疼痛を感じていることがあります。前立腺癌の場合、異常な歩行がみられ、骨盤骨や腰椎骨への転移がみられることもあります。尿道閉塞、不妊、尿失禁が起こることも、稀にあります。
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