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腫瘍

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腫瘍

細胞診

腫瘍性の変化が疑われる症例では、針吸引生検(FNA)で採取した材料を用いて細胞診を行うと、しばしば確定診断につながる情報を得ることができます。FNA細胞診を行うと、外科的生検を実施する必要がなくなることもありますし、費用とリスクが大きく抑えるられることもあります。腫瘤、腫大した臓器があれば、積極的に行うべき検査です。細胞診による確定診断で、特異的な治療を開始できるものもあります(多中心型リンパ腫など)。
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腫瘍の治療について

腫瘍の治療は、日々進歩しております。昔は、外科手術が主体でしたが、今では摘出不可能な腫瘍や転移を起こした悪性腫瘍に対しても治療が可能になってきて、寛解させられる症例もあります。放射線治療、化学療法に加えて、温熱療法、免疫療法やその他の代替療法が用いられています。

治療の選択肢が広がっていますから、治癒する可能性があるなら、治療を積極的に行いたいですね。苦しむことがわかっていて、手の施しようがないなら、安楽死も選択肢として選ばざるを得ないこともありますが、可能な限り治療法を探求して、実行するように努力しましょう。腫瘍を治療する場合、腫瘍そのものに起因する要因に加えて、多くの要因が加わってきます。それには、飼い主さんの問題もありますし、治療法に関する要因もあります。
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化学療法

通常、腫瘍細胞は、最終的な細胞の分化段階まで達していないのですが、正常細胞の生物学的特徴を備えています。なので、正常細胞と細胞周期が似ています。細胞の周期は、分裂期と静止期に分けられます。静止期は、1.合成期(DNA合成期)、2.分裂間期1(RNAとDNA合成に必要な酵素の合成期)、3.分裂間期2(有糸分裂時に必要な紡錘糸の形成期)、4.分裂間期0(真の静止期)の4期からなります。

分裂期は、癌遺伝子は細胞周期の異なる各周期間におけるチェックポイントとして働いています。
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腫瘍の動物への対処法

診察をしていると、孤立性の腫瘤を認める無症状の犬や猫は多くて、飼い主が気づくことも多々あります。表在性の腫瘤であることもあれば、深在性の腫瘤であることもあります。

診察での対応には、1.様子を見る、2.細胞診で腫瘤を評価する、3.病理組織学的検査で腫瘤を評価する、4.血液検査、尿検査、X線検査、腹部エコー検査などの一通りの検査をすべて行う、という選択肢があります。炎症性病変、若齢犬の組織球腫、可移植性性器腫瘍は例外的に、自然に退縮しますが、通常、腫瘤は小さくなりません。
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リンパ腫

リンパ腫というのは、悪性リンパ腫とリンパ肉腫がありますが、臓器(リンパ節、肝臓や脾臓など)に発生するリンパ系悪性腫瘍です。骨髄を原発とするリンパ性白血病とは異なります。

猫では、リンパ腫の約70%が猫白血病ウイルス(FeLV)に感染していることがわかっています。一般的に、若齢のリンパ腫の猫はFeLV陽性であることに対して、高齢猫ではFeLV陰性です。ここ数年は、リンパ腫の猫におけるFeLV陽性率は低下する傾向にあります。猫エイズウイルス(FIV)感染症におけるリンパ腫発症率は高いままです。FeLV陽性猫のリンパ腫罹患率は下がっていますが、リンパ腫そのものは減っていません。
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白血病

白血病は、骨髄の造血幹細胞起源とする悪性腫瘍です。細胞は、最終的な段階まで分化しておらず、アポトーシスを起こして死滅しないので、未成熟な細胞のクローンとして自己複製します。腫瘍細胞は末梢循環にみられないこともあります。骨髄で腫瘍細胞が増殖しているのに、末梢循環中に腫瘍細胞が認められないときは、無白血病症などというややこしい名前がついています。
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その他の腫瘍

犬の血管肉腫は、血管内皮を起源とする腫瘍です。高齢犬の雄に多くて、とくに、ジャーマン・シェパードとゴールデン・レトリバーが多いようです。脾臓、右心房、皮下組織が好発部位です。半数程度が、脾臓由来です。血管肉腫は、非常に侵襲性が強くて、多くが疾患の初期に浸潤して転移します。皮膚や結膜、第三眼瞼の原発性血管肉腫は、例外的に転移の可能性が低いです。
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