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血液・造血器系の疾患

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血液・造血器系の疾患

 貧血

貧血は、体内の赤血球の総数が減少した状態です。血液検査で、血球容積・ヘマトクリット(Ht)・ヘモグロビン(Hb)濃度や、赤血球数そのものが基準値以下に減少することです。Ht値が基準範囲内であっても、長期間減少している症例では、貧血と判断する場合もありますし、犬や猫によっては異常値であっても正常な状態であることもあります。よく注意して評価しましょう。貧血は、原発性疾患ではなく、状態を意味する言葉ですから、貧血があれば、原因の特定を行いましょう。
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 赤血球増加症

赤血球増加症は、循環赤血球の絶対数が増加した状態です。Ht値が基準値を超えた状態で判断します。高いHt値は、犬種の中にはそもそも高いのもいますし、高地に生息している犬でも認められます。赤血球数の増加で、血液流動性が著しく変化して、過粘稠度症候群の症状の現れることがあります。
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 白血球減少症/白血球増加症

血液検査で、総白血球数と各種白血球数を計測することは、診断の絞込みに有用で、病気の重篤さや予後を評価するに役立ちます。経時的に白血球数を計測するのも、治療に対する反応を評価する助けとなります。
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血球減少症/白赤芽球症

複数の血球系統に及ぶ血球減少症は、骨髄での産生低下によって発生することの多い疾患です。循環している血球の破壊亢進や隔離によっても起こることがあります。

2系統血球減少症、というのは、末梢血液中の血球のうち、2種類の血球の数が減少している状態です。例えば、貧血(赤血球)と好中球の減少、貧血と血小板の減少、好中球と血小板の減少などです。3種類(赤血球、白血球、血小板)すべての細胞系統が減少している状態は、汎血球減少症といいます。多くの場合、貧血があると、非再生性です。再生性貧血が、その他の血球減少と併発していると、原因は末梢における血球破壊です。白赤芽球症(白赤芽球反応)、といのは、循環血液中に未成熟な白血球と有核赤血球が存在していることをいいます。
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止血異常

特に犬は、自発性の出血や過剰な出血がよくあります。猫では稀です。持続的な外傷、手術を受けた犬や猫で、出血傾向があって検査をしてみると、止血異常がみつかることがあります。止血機構の異常は、出血以外に、血栓症や血栓塞栓症を引き起こすこともあって、臓器不全が生じる可能性もあります。血栓塞栓症の多くは、心疾患を有する犬や猫で起こるもので、止血異常によるものは、あまりありません。犬の出血傾向でよくある原因は、免疫介在性血小板減少症や播種性血管内凝固(DIC)です。先天性凝固因子の欠損による自発的な出血は、それほど多くありません。犬種によっては、フォンヴィレブランド病(vWD)を起こすこともありますが、それでも自発性出血がみられることは、稀です。

猫の肝疾患、FIP、腫瘍で、止血系検査に異常が認められることがあります。それでも、猫は出血傾向が認められることは、ほぼありません。レトロウイルス感染で骨髄疾患を発症して、血小板産生低下や血小板機能障害で、みられる自発性出血ぐらいです。
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リンパ節と脾臓の疾患

リンパ節と脾臓は、免疫系を構成する単核食細胞系細胞の主要な供給源です。こられのリンパ系器官は、常に動的な状態にあって、抗原刺激などによって形や大きさを変えて反応します。一般的に、リンパ節内でのさまざまな刺激に対する細胞反応は、脾臓での細胞の反応と同じです。脾臓は、主に血流によって運ばれた抗原に反応するのに対して、リンパ節は輸入リンパ管を介して運ばれてくる抗原に反応します。簡単に言うと、脾臓は微生物、リンパ節は局所組織の反応ということです。

リンパ節は、被膜に覆われて腎臓に似た形をしていて、リンパ液を濾過して免疫反応を引き起こす構造を持っています。外側から、被膜、被膜下辺縁洞、皮質、傍皮質、髄質となっていて、それぞれが特有の昨日を持っています。被膜は、他の構造物(基質)を結節内に囲みこんで支持します。被膜下辺縁洞・髄洞は、単核食細胞が分布していて、輸入リンパ管を経て運ばれてきた分子を濾過して、抗原をリンパ球に提示します。皮質には、胚中心と呼ばれるB細胞領域が含まれています。傍皮質は、主にT細胞で構成されていて、細胞性免疫に関与しています。髄質には髄索が存在していて、そこではB細胞や抗原刺激に反応した形質細胞が分化しています。髄索の間には、多数の単核食細胞を含んだ髄洞が内皮の網を形成して、輸出リンパ液の篩の役割を果たしています。リンパ液は、髄質から門にある輸出リンパ管を通って流れていきます。
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その他の疾患

  •  高蛋白血症
      血漿蛋白分画は、アルブミン・グロブリン・フィブリノーゲンから構成されていて、フィブリノーゲンは血清中には存在しません。凝固して、フィブリンに変換されます。高蛋白血症の評価を行う際に、検査上のアーチファクトには注意しましょう。高脂血症や溶血などは、見かけ上、血清蛋白濃度を上昇させます。
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  •  不明熱
      発熱は、感染性、非感染性の炎症の原因に対する生理的な防御反応で、生体の有害因子に対する除去能力を高める作用を示します。細菌、内毒素、ウイルス、免疫複合体、活性化したい補体、壊死組織など、さまざまな刺激によって主に単核球やマクロファージからなる食細胞からの内因性の発熱物質が放出されます。この内因性発熱物質は、インターロイキン-1や6、腫瘍壊死因子(TNF)などです。視床下部の視索前核を刺激して、筋肉の収縮と震えによって熱を賛成して、血管収縮によって熱を維持することで体温調節の温度設定を上昇させています。
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  •  再発性感染
      再発性感染や持続性感染は、免疫系の異常によって引き起こされます。先天性の免疫不全症候群は、液性免疫、細胞性免疫、食細胞性免疫不全のいずれかで起こります。原因となる分子欠損は遺伝子検査でも特定可能です。後天性免疫不全症候群は、ジステンパー・パルボ・エールリヒア・バルトネラなどの感染症、全身性毛包虫症(アカラス)、猫ではFeLVやFIVに伴って認められます。抗癌剤によっても起こる免疫抑制が原因になることもあります。
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