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関係法規

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関係法規

  • 獣医師法・・・獣医師の職務・資格などに関する法律です。
    • 獣医師免許、獣医師国家試験、獣医師の業務の大筋、獣医事審議会、罰則などが書かれてます。
    • 獣医系大学に入学し、専門教育を修めて、卒業もしくは卒業見込みの者が、所定の受験料を払って国家試験を受験し、合格すれば、合格証と戸籍などと共に、手数料を払って免許申請。晴れて獣医師名簿に登録され、農林水産大臣から獣医師免許が交付されます。外国の獣医系大学を卒業した人でも、「獣医事審議会」にて承認されれば、日本の獣医師国家試験を受験できます。
    • 一般の方がちょっと知っておいた方が良さそうなことは、
      『獣医師国家試験は、飼育動物の診療上必要な獣医学並びに獣医師として必要な公衆衛生に関する知識及び技能について行う』ということ。
      『公衆衛生』ってことが重要です。獣医師は、動物の病気を治す動物病院の先生の役割だけでなく、産業動物(家畜など)の管理、公衆衛生を守る立場で活躍することも期待されているということを知っておいて下さい。
    • 『業務』に書かれていることには、2年ごとに届出を行うことが義務付けられていること、カルテを必ず作ること、そのカルテは最低3年間は保管すること、となってます。けど、読み方によっては生きていても3年前のものはなくても罰はなさそうで、ここは死亡後3年以上、などの記載にした方が良さそうなもんですけど・・・。牛、水牛、しか、めん羊及び山羊は8年以上の保管が必要です。
    • 臨床に携わる場合には臨床研修を行うように努める、という記載があり、期間は6ヶ月以上が推奨されています。
    • 罰則では、獣医師の罰則と共に、獣医師でないものが診療行為を行った場合、2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処せられることも記載されてます。
    • 獣医師は、実際の診察をすることなく、診断書を記載したり薬を処方したり検案書(死亡診断書)を作成してはいけないことになっています。なので、飼い主さん、「犬を連れてきてないんだけど薬もらえる?」ということは決して言わないで下さい。
  • 獣医療法・・・動物診療施設の開設や管理、獣医療を提供する体制の整備に必要なことを定めた法律です。
    • 動物病院などを開設したら、開設後10日以内に、所在地の都道府県に届出をしないといけません。
    • 施設の開設者は獣医師でなくても構わないのですが、管理は獣医師で無くてななりません。
    • 広告ですけど、獣医師や診療施設の専門科名、学位・称号はいいのですが、技能、療法、経歴の広告はしてはいけないことになっています。
    • 獣医療法はかなりおおまかなことしか書かれてなくて、獣医療法施行規則に詳しく書かれていますので、是非、それを参考にして下さい。
    • 獣医療法施行規則
      • 開設の際に届け出る内容が記載されています。開設者が誰(個人か法人か)で、どこで、いつで、施設・動物病院の名前が何で、どんな間取りか。
      • 動物が逃げ出さないようにすること、伝染病の疑いがある場合は他の動物への伝染を防ぐようにすること、消毒できること、調剤に関する記載、そして清潔にすること、など。
      • エックス線、放射性物質の使用に関する記載が詳しく載っています。最近は、PETで用いる『陽電子断層撮影診断用放射性同位元素』についての記載もあります。
      • 広告制限の特例が認められていて、犬猫の去勢や避妊手術を行うこと、狂犬病やその他の感染症の予防接種を行うこと、健康診断を行うこと、犬糸状虫症(フィラリア)の予防を行うことなどは構いません。
  • 動物の愛護及び管理に関する法律・・・いわゆる動物愛護法です。
    • 動物の虐待を防止すること、動物の適正な取り扱いを定めている
    • 国民の動物愛護精神を求めるとともに、人の命、健康被害の防止が目的
    • 環境省が管轄している法律であり、獣医師よりも飼い主、動物を販売される方、ペットホテル、トリミングサロンなどを行う方が対象です。
    • 施設を登録しなければなりません。
    • 動物取扱責任者を置かなくてはなりません。動物取扱責任者は定期的な研修があります。動物病院にてホテル、トリミングを行う場合も必要です。
    • この法律はどんどんと厳しくなっています。それだけ、これまでの動物飼育の環境が悪かったということです。販売する際には、20時以降は動物を展示してはいけないし、生後56日以上しか生体の販売はできなくなります。そのうち、展示販売もできなくなるのではないでしょうか。
    • 獣医師は、動物愛護の精神の上で業務を行う必要があるので、この法に記載されていることは当たり前であると認識しています。
  • 家畜伝染病予防法・・・家畜の伝染病の予防と蔓延を防止するための法律
    • ここにも狂犬病が含まれます。狂犬病は全ての哺乳動物が対象です。他にも人畜共通伝染病が含まれますが、この法律は家畜に対するものです。
    • 特に、牛疫、牛肺疫、口蹄疫、豚コレラ、アフリカ豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザ、低病原性鳥インフルエンザについては、それらを疑う疾患を呈する家畜でも、直ちに殺処分しなければなりません。
    • 家畜伝染病(法定伝染病)として記載されている28種の伝染病と、届出が必要とされる71種の伝染病については、別途、感染症の項目で記載していますので、そちらをご覧下さい。
    • 感染した動物の輸出入はまず不可能、発生地域での移動も制限されます。
    • 研究目的で病原菌を保有する場合も、届出、許可が必要です。
  • 狂犬病予防法・・・狂犬病の発生を予防すること、蔓延を防止すること、撲滅するために定められた法律です。狂犬病は家畜伝染病予防法の中にも含まれる伝染病ですが、独立して法律が制定されている意味をよく理解し、予防する重要性を認識してください!
    • 対象動物は、犬。
    • 狂犬病が発生したりすると、猫および牛、馬、めん羊、山羊、豚、鶏、あひるも対象に加えられます。
    • 犬の所有者は、犬を飼い始めた日から30日以内に、お住まいの市町村に犬の登録を申請しなければなりません。義務です。
    • 生後90日以内の犬を飼い始めた時は、生後90日を経過した日から30日以内に犬の登録を申請しなければなりません。義務です。
    • その後、毎年1回、狂犬病の予防接種を受けなければなりません。義務です。
    • 届けをした時にもらえる鑑札(初回登録時にもらえる)や済票(毎年の接種でもらえる)は犬に着けておかなくてはなりません。義務です。
    • 狂犬病の予防接種をしていないと飼い犬を抑留されても文句を言えません。もちろん、いきなり抑留されることはないですが、悪質な場合は罰則・罰金があります。
    • 狂犬病の予防注射をしましょう! → 動物病院
  • その他の法令、規則、指針など
    • 産業動物、家庭動物、展示動物、実験動物の管理など
      • いずれの動物を飼育、管理する場合も、動物の生態や習性を理解して、愛情を持って接することが求められます。
      • 人畜共通伝染病に対する知識をもつよう努めること、が書かれてます。
      • 家庭動物を飼育する際には、動物の健康維持、生活環境を整える、適正な飼育数・繁殖を制限すること、移動するときにも苦痛を与えないこと、逃げないようにする、人に危害を加えないようにすること、災害時にも避難場所の確保に努めること
      • 犬の飼育に際して、特に記載しているのは、放し飼いをしない、鳴き声や糞尿で地域住民に迷惑を掛けない、人に危害を加えないようにしつける、外に出るときにはリードをつけること、飼えなくなったら譲渡することなど
      • 猫の飼育について、特に記載されていることは、感染症の防止に努めること、鳴き声や糞尿で地域住民に迷惑を掛けない、室外飼育もする場合は避妊または去勢を行うこと、飼えなくなったら譲渡することなど
      • 産業動物・・・牛・豚・鶏などの産業利用をする動物
      • 家庭動物・・・ペットとして飼育する動物全般
      • 展示動物・・・動物園や水族館などの動物
      • 実験動物・・・科学的な研究に供される動物
    • 犬などの輸出入・・・ここでも狂犬病がポイントです。
      • 外国に犬を連れて行くとき、外国から犬を連れてくるとき、輸出入の際には、狂犬病の予防接種は絶対です。時間も掛かりますので、事前の準備は十分に余裕を持って行いましょう。日本は狂犬病清浄地となっているので、特に入国の手続きは大変です。つまり、犬を連れて行く先の国や地域が狂犬病清浄地なら、とても大変ということにもなります。
      • 犬の出国の際には、レプトスピラの感染も必須です。
      • 猫、きつね、あらいぐま、スカンクらも狂犬病への感染がないことを証明する必要があります。
      • その他の動物(鳥類、サル、うさぎ、フェレット、両生類、爬虫類など)でも出国には検疫が必要で、相手国に入国の際には、相手国で必要な条件を満たさなくてはなりません。
      • 日本では、ペット用のサルの入国は出来ません。
      • 輸入する際には、感染症予防のための検疫が一定期間あります。動物検疫所のホームページを参考にしてください。ワシントン条約により輸入を禁じられている動物もあります。
    • 殺処分に関する指針・・・動物を殺処分しなければならないときに
      • 生命の尊厳性を尊重すること
      • 動物に苦痛を与えない方法で実施するよう努めること
      • 人の命や健康被害、生活環境への被害を防止すること

他にも獣医師の関連する法律(食品衛生法、家畜保健衛生所法、地域保健法)はありますが、ここでは割愛します。