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消化器系の疾患/検査

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消化器疾患を診断するための検査

 消化管の疾患を診断するための検査

血液検査や尿検査は積極的に行いましょう。消化器系の疾患を疑う症例では、糞便検査も必須です。特に、子犬・子猫では必要です。カンピロバクターやジアルジア、回虫・鞭虫・条虫など消化管寄生虫の有無、さらに場合によっては、パルボウイルスの感染有無を、キットを用いてチェックしておいた方がいいこともあります。
X線検査、超音波(エコー)検査で得られる情報も多く、有益です。異物を飲み込んだ場合、消化管の狭窄や閉塞を確認するために、バリウムを投与してのX線検査もよく実施します。最近では、内視鏡を用いた検査も頻繁に行われますので、より正確な診断が可能になってきています。

 肝胆系の疾患を診断するための検査

肝臓は、多様な臓器なので、肝胆疾患を評価するには、いくつかの検査を組み合わせて行うことが必要です。検査の多くは、肝臓の機能を評価したものではなく、肝臓への影響を示す結果を導き出すだけです。肝胆系疾患が疑われた犬や猫に対して行う一連の検査としては、血液検査、尿検査、糞便検査、腹部X線・エコー検査でしょう。肝胆疾患の存在が示唆されたら、特異的な検査で診断を確定させていく、という手順が通常です。原発性肝疾患を検出することが必要です。二次性の肝疾患と思われる場合には、肝臓の検査を行うより基礎疾患を早期に診断して治療に入ることに力を入れましょう。

血液検査では、肝酵素のほか、アルブミン、尿素窒素、ビリルビン、コレステロールや血糖値などの測定によって、肝臓の蛋白合成異常、蛋白分解産物の解毒能の低下、正常な血糖値の維持機能の判定など、肝胆疾患の状態や機能障害をある程度判断できます。
但し、重度の機能障害がありながらも酵素活性の上昇はわずかであったり、著しく酵素活性が上がっていながらも肝機能が正常である場合もあります。それを認識しておくことが重要です。
肝臓は予備能力が大きい臓器なので、肝臓の半分程度が傷害されて機能障害を検出することが可能になります。慢性肝炎では、肝機能の75%が喪失するまで肝機能障害の徴候が認められません。

問診、触診、スクリーニング検査、肝胆道系の特異的な検査を行って、疾患が原発性なのか二次性なのか、肝細胞原発か胆道原発か、肝胆疾患の程度がどの程度か、などを判断していきます。その結果、肝酵素活性の上昇と肝腫などの肝臓の異常を伴う肝疾患なのか、肝不全を起こして機能不全に陥っているのか、を診断することになります。一般的に、二次的な肝疾患は肝不全まで進行しません。

 診断のための検査

  •  酵素活性として、一般的に用いられるのは、ALT(GPT)、AST(GOT)、ALPです。
  •  機能検査の診断のために用いられる指標には、アルブミン、尿素窒素(BUN)、ビリルビン、コレステロール、グルコース、電解質、胆汁酸、アンモニアあたりが考えられます。
    •  アルブミンは、肝臓で作られますので、低アルブミン血症の場合、肝臓での合成機能の低下を考慮しますが、肝細胞の80%程度がダメージを受けないと低アルブミン血症は発現しないことも知っておきましょう。逆に、肝機能不全の低アルブミン血症なら、それは重度の慢性肝機能不全です。
      低アルブミン血症は、肝臓以外の原因として、糸球体や消化管からの喪失や出血が考えられます。特に、猫ではネフローゼ症候群が低アルブミン血症の大きな原因です。
    •  腸管由来のアンモニアを解毒して、尿素を産生するのも肝臓です。なので、BUNの低値は肝機能の低下を考慮する必要があります。
    •  グルコース濃度の変化(低値)は末期に現れる症状で、通常はみられません。
  •  尿検査によるビリルビン尿の有無はしっかりみておきましょう。高ビリルビン血症や黄疸よりも早く肝疾患に反応します。犬は貧血がないことも確認し、猫ではビリルビン尿は要注意です。
  •  糞便検査、腹腔穿刺による腹水の採取と検査、赤血球や凝固系の検査も必要になってきます。その他、画像診断(腹部X線、腹部エコー)や肝生検も必須です。