皮膚の疾患/その他
その他の皮膚疾患
好酸球性肉芽腫
局所的に著しい好酸球の浸潤を認める病変の総称です。猫でみられます。発症要因は不明です。アレルギー、細菌感染、遺伝、猫の硬い舌乳頭が物理的な刺激となる、などが示唆されています。
診断には、局部から採取した試料を鏡検して、好酸球の浸潤を確認します。猫種、年齢を問いませんが、比較的若齢での発症と雌猫で好発するようです。
治療
好酸球の浸潤に関与しているのではないか、と考えられる要因を除去することがまず必要です。ノミアレルギーが関係していると思われれば、徹底的にノミの駆除を行います。その他、食事性、昆虫刺咬、細菌感染、アトピー性皮膚炎などが可能性として挙げられます。
発症要因が不明であれば、グルココルチコイドやシクロスポリンによる免疫抑制治療を行います。プレドニゾロンの経口投与やデポメドロールの皮下注射で構いません。治療に対する反応性はよく、改善が期待できますが、環境や生活習慣が変わらなければ、再発することの多い疾患です。
猫の心因性脱毛
何らかの精神的要因による過剰なグルーミングから脱毛を生じたもので、炎症症状(発赤、びらん、痂皮など)を伴わない非炎症性脱毛です。前肢、大腿内側、下腹部、鼠径部、腰背部に好発します。
診断
飼い主からの問診と、非炎症性脱毛症状を示す皮膚疾患との鑑別を行って、除外することにより推察します。心因性脱毛は過剰なグルーミングによる脱毛なので、問題行動がどの程度あって、その原因は何か、を聴取することが必要です。
毛をよく観察して、毛の断裂が脱毛症状の原因になっていることを確認しましょう。毛切れしている様子が伺えるはずです。感染症や内分泌疾患、アレルギーによる自傷などが除外されて、確定診断に至ります。
治療
- ストレス要因の除外
- 猫にストレスとなっていることは何か、を判断して極力除外することが最善の方法です。
- 考えられる要因は、分離不安、同居動物との関係性、生活空間の不安、欲求不満、飼い主や同居動物の喪失、術後ストレスなど、さまざまです。
- 薬物投与
- 必要に応じて、抗不安薬などを投与します。
処方例 クロミプラミン(クロミカルム)
0.5~1mg/kg・PO・1日1~2回
ジアゼパム
1mg/Head・PO・1日1~2回
ヒドロキシジン(アタラックス)
2mg/kg・PO・TID
予後
ストレス要因が特定されて回避できれば、改善が期待できます。ストレス要因がわからない場合は、長期にわたる疾患になります。