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鑑別診断/口臭

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口臭について

口臭は、普通は口の中の異常(口腔内疾患)で起こることが多いですが、
呼吸器の疾患であったり、内臓系(消化管や腎臓など)の疾患でも臭うことがあります。原因として考えられることを見て行きましょう。

  •  口腔内疾患
    •  歯周病によるもの・・・歯肉炎、歯根膜炎、膿瘍が口腔内で起きている場合。
      •  犬の場合、虫歯はありません。
      •  歯周病によって口腔内で炎症が起こるということは、菌の感染が起きています。菌が増殖する原因の一つとして、歯石・歯垢の付着が大きな影響を与えます。特に、犬は歯周ポケットが大きく、歯周内での菌の感染が臭いの原因と考えられます。
      •  口臭を予防するには、歯石の除去が一つの方法ですが、全身麻酔で実施する必要があることもあり、手軽に口腔内を殺菌できる口臭ケアスプレーを使うことも解決法の一つです。
    •  腫瘍の場合
      •  メラノーマ、繊維肉腫、扁平上皮癌
    •  異物(腫瘤)・外傷
    •  咽頭炎
    •  口内炎
      •  口内炎は猫に多く、免疫力の低下が原因で起こることが多い疾患です。猫白血病ウイルス、猫エイズウイルス、カリシウイルスなどが原因となります。
      •  他の免疫力低下の原因では、壊死性潰瘍性歯肉口内炎、真菌感染(カンジダ)、好中球機能不全(グレーコリー症候群、薬物治療によるもの)などが考えられます。
      •  自己免疫疾患による場合・・・天庖瘡・類天庖瘡(小胞水庖性皮膚疾患)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン様症候群
      •  過敏症による場合・・・薬疹や虫刺され
      •  好酸球性肉芽腫
      •  猫の場合、慢性的な歯肉炎・口内炎になることがあります。
  •  呼吸器の疾患によるもの
    •  鼻炎や副鼻腔炎
    •  肺炎や肺膿瘍
      •  つまりはこれらも菌の感染による炎症ですね。
    •  腫瘍
  •  皮膚病
    •  口唇や口腔粘膜皮膚の膿皮症
      •  これも菌の感染による炎症です。
    •  皮膚リンパ腫
  •  代謝性の疾患の場合
    •  腎不全・尿毒症
      •  腎不全になると口腔内に潰瘍ができます。また腎不全になると血中に尿成分が存在している状態にもなることがあり、尿毒症性口臭がみられます。尿毒症は、尿道閉塞、膀胱破裂によっても起こることがあります。
    •  糖尿病ケトアシドーシス
      •  インスリンの欠乏で、脂肪分解が増強されてしまい、肝臓で利用可能な遊離脂肪酸が増えます。そのため肝臓でのケトンの生成が促進されるのですが、そのケトン体(アセトン)が臭く、呼吸時にアセトン臭がすることで口臭がでます。
      •  糖尿病によるインスリンの欠乏、グルカゴンに代表されるホルモンの過剰分泌によるインスリン抵抗性により、脂肪分解やケトンの産生、糖新生がが刺激されます。高血糖症が悪化すると、さらにケトン血症が増幅されます。
  •  消化器性の疾患の場合
    •  巨大食道
    •  炎症性腸疾患
    •  膵外分泌不全
    •  腫瘍
    •  便秘
  •  食べ物や見繕いによるもの
    •  臭いの強いものを食べた場合
      •  食糞や腐敗肉の摂取
      •  タマネギやニンニク
    •  身繕いで口腔内に臭いの残るものが入った場合
      •  肛門嚢炎・・・肛門腺が溜まって、さらに破裂した場合など、気にして患部を舐めます
      •  膣炎や子宮内膜症のとき、患部からの下り物を舐めて臭うことがあります。
      •  亀頭包皮炎・・・包皮内に膿が溜まる場合。これも細菌の感染症です。気にして舐めますので口が臭うことがあります。
      •  下部尿路感染症・・・膀胱炎が起こると排尿が気になります。気にすると、とにかく舐めます。

原因がわかれば治療に入ります。獣医さんの話をよく聞いて、しっかり治しましょう。