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消化器系の疾患/腸の疾患/便秘

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便秘

骨盤腔閉塞

よくある原因は、交通事故による外傷です。骨盤骨折の不整治癒が、骨盤腔を閉塞させます。

猫では、事故による骨盤骨折が、動かないでいることで治癒するんですが、外見は正常に見えても、不整治癒して骨盤腔が狭くなってて、結果として、巨大結腸症や難産を引き起こします。指で直腸検診すれば診断可能です。

骨盤狭窄がわずかであれば、便の軟化剤(流動パラフィン)や消化管運動調節薬(メトクロプラミド)で蠕動を刺激するとコントロールできますが、整形外科手術が必要になる場合もあります。結腸拡張の重症度と慢性度や、骨盤腔拡張手術の成功度合いで予後が変わります。

直腸狭窄

腫瘍や真菌性の肉芽腫が直腸を狭窄する場合を除いて、良性で線維性の直腸狭窄が起こることがあります。鑑別診断には、直腸鏡検査や狭窄部の深部生検(粘膜下組織を含む生検)が必要です。

原因は不明です。先天性・特発性のものと思われます。
症状には、便秘としぶりがみられます。

バルーンを使った簡単な処置で、正常な排便が可能になります。うまく行かない場合は手術です。治癒過程で狭窄が再発することがありますが、再発防止に、プレドニゾロン(1mg/kg/日)を投与しておくといい場合があります。

食事性便秘

通常、便秘になるのは、直腸に詰まるようなものを食べた場合です。直腸につまるなら、まだいい方ですが、誤飲・誤食をさせないようにしっかり注意しましょう。
過剰な線維性の補助食を食べていて、動物が脱水症状になると、便秘を引き起こします。

治療は、物が詰まっているなら浣腸です。糞塊が硬くて大きくなって出ない状態であれば、適度な量の繊維を与えて、水分の多い食事をさせます。それでも出ないなら、浣腸か、可能であれば麻酔をかけて、曲止血鉗子などで糞塊を壊して排出します。

巨大結腸症

原因不明の特発性です。
猫に多くて、便秘とともに、抑うつ、食欲不振がみられます。

お腹を触ると、尋常ではない量の糞塊が触知されます。
取り出すには、2~3日、微温湯を入れたりして、洗浄浣腸を繰り返してから行うと、多少楽になります。便を柔らかくすること、砕けるなら砕いてやらないことには排出できません。触ってみると骨盤腔を通過できるとは思えない大きさであるのが、通常です。

ラクツロースにより多少、便が柔らかくなる可能性もあります。
猫では、結腸摘出術も可能ですが、術後、軟便の続くことがあります。