中毒
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中毒
獣医学では『毒性学』という分野もあります。ここでは中毒の概略を記載しておきます。具体的な中毒症状を起こす物質についての詳細は専門書に任せます。
中毒に対する対応
中毒の救急治療 さらなる毒物の吸収を防ぐ
催吐処置
胃洗浄
胃腸管での吸着剤(活性炭)投与
下剤の投与
活性炭投与の30分後に投与する
利尿薬の投与
生理食塩水を輸液しておく
解毒剤の投与
支持療法と対症療法を!
中毒では、毒物の摂取から治療を行うまでの時間経過が大きく影響します。飼い主さんは、何を摂取したか、どの程度の量を摂取したのか、摂取した時間はいつ頃か、症状はどうなのか、をしっかり確認しておくことが必要です。
原因物質
中毒の治療は、まず、原因物質を特定することが大切です。原因物質が特定されていれば、解毒剤を使用して速やかに回復させられることがあります。
摂取量・摂取時刻
中毒物質を摂取したら必ず中毒症状が現れるとは限りません。多くの場合、摂取した量と経過時間によって、症状は影響されます。摂取量が少なく、数時間が経過しても症状がなければ、大事に至らないこともあります。中毒量を摂取した場合でも、摂取してからそれほど時間が経過していないなら、体外に排出させて影響を最小限に抑えることができます。
症状
摂取後、それほど時間が経過していない場合は、消化器症状(嘔吐・下痢・食欲不振)、呼吸器症状(咳・鼻水・呼吸困難)、皮膚症状(発赤・熱感・痛み)などがみられます。しかし、時間の経過とともに中毒物質が血中の入ってしまうと、様々な臓器に影響を与えることがあり、複雑な全身症状を現すことがあります。そうなると、症状だけからは中毒の判断すらできなくなります。
仮に、突然、涎を流す、ふらついて立てない、痙攣しているといった症状があれば、飼い主さんは冷静になって、呼吸はしているか、頭を持ち上げることができるか、出血していないか、などをよく観察しましょう。
倒れている
- 呼吸をしていない・瞳孔が開いている・体が硬直している
このような場合は、残念ながら手遅れで、救命することは難しいかも知れません。- 深くゆっくりと喘ぐような呼吸
これも非常な危険な状態です。いち早く動物病院での処置が必要ですが、それでも救命できるかどうか、はわかりません。- 痙攣している
四肢を突っ張って痙攣しているときは、2~3分ほど様子を見て、痙攣が治まれば直ぐに動物病院へ行きましょう。治まらない時も、そのまま動物病院へ行きます。痙攣が激しい場合は、呼吸ができなくなって死亡することもあります。痙攣の状態では、意識が混濁して苦しいために、飼い主さんであろうとも無作為に咬み付いてしまうことがありますので、注意してください。- 上半身は起こしているが下半身に力が入らず横たわっているとき
中毒よりも、事故による脊髄損傷や骨盤骨折の可能性があります。- 出血が激しいとき
出血場所を確認して、より心臓に近い側を布などで縛ります。そのまま動物病院へ直行しましょう。
うずくまって動かない
倒れている状態と同じかもしれません。緊急を要します。極度の痛みで苦痛が大きい場合もあります。飼い主でも咬み付くことがありますので、注意してください。
嘔吐
犬や猫は、人に比べて嘔吐をしやすい生き物です。1回の嘔吐で、その後はケロッとしていて、元気で、食欲もあるといった場合にはそれほど心配はありません。
- 1日に何度も吐く
- 何回も嘔吐して、元気も食欲もない
- 何度も嘔吐して、激しい下痢も伴う
- 何回も吐いて、苦しそうに震えている
- 水を飲んだ後や食事直後に吐く
- 吐物や下痢に血液が混じっている
などの症状が嘔吐に伴ってみられたら、動物による中毒、腸閉塞、食道閉塞、急性膵炎、異物誤飲などが疑われるので、診察を受けておきましょう。
下痢
嘔吐の場合と同じく、急な食事の変更や食べ慣れないものを食べたことによる下痢から、中毒によるものまで、様々な原因が考えられます。先ずは、食事を抜いて、様子を見てみましょう。すぐに下痢が治まって元気になれば、大丈夫だと思います。
- 元気と食欲が全くない
- 何回も下痢をして、嘔吐も伴う
- 背中を丸めて震えている
- 水様便、泥状の下痢が1週間以上続いている
- 便の色が黒っぽい
などの症状があれば、診察を受けましょう。なければ、1日、水だけを与えて、食事を抜きます。翌日は、いつもの半量を給餌して、以降は、1週間程度かけて元の量に戻していきます。食事はぬるま湯でふやかした方がいいでしょう。
食欲がない
- 元気がない
- 震えている
- 歩きたがらない
- 5日以上食べない。痩せてきた。
- 口の中が白っぽい
- 眼の粘膜が白っぽい
- 激しい下痢や嘔吐を伴う
- 尿が出ない
- 呼吸が荒い
んどの症状があると、問題です。なければ、しばらく様子を見て構わないと思います。食欲がないからといって、特別なものを与えるのはよくありません。ストレスがあるようなら、原因を特定して、取り除いてあげられるようにしてあげましょう。
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- ドクゼリ
- ドクウツギ
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- キキョウ
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