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神経系の疾患

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神経系の疾患

神経系の機能について

神経症状を示す犬や猫の診断的評価において最も重要なのは、正確に解剖学的な診断を進めることです。神経系の構造と機能の基礎的な理解をすることが、神経学的検査所見を正しく解釈することと臨床的に重要な病変の位置を決める上で、重要です。
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診断過程
1. 神経学的な異常を評価する
2. 病変部位を特定する
3. 神経性疾患以外の併発症をすべて評価する
4. 神経性疾患の発症と進行を評価する
5. 眼別疾患リストを作成する
6. 必要なら診断と予後判定のために補助的検査を実施


神経学的検査

スクリーニングの神経学的検査は、比較的短時間で可能です。精神状態、姿勢、歩様の異常を最初に評価します。その後、姿勢反応を評価して、異常が検出されたら、筋の緊張、脊髄反射、尿路機能、感覚認識の評価が病変の部位の特定に役立ちます。最後に脳神経を評価して、必要ならば、脳内の病変部位の特定をします。
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神経筋障害の検査

中枢神経系の疾患では、血液検査、尿検査において、特異的な異常はほぼ認められません。しかしながら、こられの検査を行うことは無駄ではなく、神経症状を起こす全身性の疾患を診断する場合や、原発性の神経疾患に関連する異常を特定するに、有用です。
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脳の疾患

  •  頭蓋内の疾患
    神経学的検査での病変存在部位が、大後頭孔より上位であると考えられたら、種々の疾患が考慮されます。疾患によっては、前脳や小脳など脳の一部のみに特徴的に発症するものもあれば、脳のどの部分にも発症する可能性もあります。精神機能の変化は、ほとんどの場合、前脳と脳幹の疾患です。
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  •  てんかん発作
    てんかん発作は、大脳皮質における過剰な電気活性で起こる症状です。前駆症状・徴候・発作期・発作後期に分類されます。前駆症状は、発作が始まる前の期間で、隠れたり、何かを探す行動(探索行動)をしたり、不安で鼻を鳴らしたり、時には興奮した行動を示すなどの行動変化が現れます。飼い主が異常に気づくこともありますが、わずかな変化で気づかれないこともあります。徴候は、発作の最初の変化で、発作開始前の数秒~数分間、徘徊したり、舌なめずりをする、嚥下反応をするなどの定型化した動きや、流涎・嘔吐・排尿などの自律神経性異常や、吠える・探索行動などの異常行動を示します。発作期は、てんかん発作そのもので、動物は意識消失、錯乱、筋緊張、咀嚼運動、流涎、排尿・排便(失禁)などの症状を示します。発作後期は、発作後、数分~数時間持続しますが、感覚麻痺、運動麻痺、異常行動、見当識障害、口渇、異常食欲、傾眠、失明などを示します。
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  •  斜頸
    斜頸は、犬や猫でよく認められる神経学的異常です。中枢部、末梢部からなる前庭器官の障害を意味しています。末梢前庭系には、頭蓋の側頭骨岩様部内の内耳膜迷路に存在していて前庭入力に関わる感覚受容体と、この受容体からの情報を脳幹へと伝達する内耳神経の前庭部があります。中枢前庭系には、脳幹神経核、延髄や小脳片葉小節葉における経路があります。中枢・末梢前庭系の異常では、斜頸、旋回、運動失調、横転、眼振が発現します。
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  •  脳炎・脊髄炎・髄膜炎
    犬と猫の中枢神経系の炎症性疾患の病因として、細菌、ウイルス、原虫、真菌、リケッチア、その他の寄生虫・病原体が認識されています。加えて、犬にはステロイド反応性の髄膜炎・動脈炎、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎、壊死性髄膜脳炎など、免疫学的な機序の関与が示唆されるものの、原因が特定されていない髄膜炎もあります。
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脊椎・脊髄の疾患

脊髄疾患は、奇形、変性、腫瘍、炎症性疾患、外傷、椎間板の突出による内部損傷、出血、梗塞などによって起こります。症状は、病変部位と重症度によって異なりますが、疼痛や不全麻痺・麻痺が多くて、排尿障害を伴うことがあります。
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末梢神経系の疾患

末梢神経としては、四肢の筋肉を支配する頸部と腰髄膨大部の脊髄神経から起始する末梢神経と、脳幹から始まる12対の脳神経が重要です。脊髄神経や末梢神経の損傷で、脱力、筋緊張低下、筋肉や四肢の反射低下などの下位運動ニューロン(LMN)徴候を示します。末梢神経の感覚路だけが侵された場合は、その神経が分布している皮膚領域で知覚が低下・消失したり、場合によっては亢進することもあります。
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